Autobiographical

それは茶色い肌の子供の話、
トリーに弄ばれた母親を持つコンジャの妹も登場するはずさ
その物語に登場するティキという子供は
外衣を羽織って、自分の食事用プレートにサラダとステーキ、ポテトを盛りつけた
間抜けな奴が何かを拒絶する様子を笑っちゃいけないんだ
俺の人生に重くのしかかるプレッシャーは、ふたつの難関、そのひとつは金だと思ってたからさ
だから10歳になる頃には、俺は大人のマスコットだった、友だちができたのはそれからさ
だから今の俺はショーン・ウィルキンソンと一緒に、他人の懐をひったくったりしてる
なぁニガー、金を自分のものにしろと連中は言ったんだ
俺はポリ公どもを威嚇したことはない、俺の父さんもそうだったように、
連中は俺を自由に操ることはできないのさ
けど、それも父さんがこの物語の進み具合を知るまでのこと
チクショウ、一体誰がそう言ったんだ? ベン・デュシオンさ
人のいいその男と俺の父さんはそれでも不満を漏らさない
マッチで遊んでいた日、俺は自分の手に調理用コンロを近づけた
俺の手は熱くなって、父さんは、悪戯っ子の話をしてくれたのさ
父さんが戻ってくるまで
週末まではわがままを言ったりコソコソしたりせずに大人しくしてろってさ
俺が自分のチームを率いて、野原で野球の試合をやってる時に、相手にボールを強打されるようなもんだな
なーんていう俺の説明を無視して、父さんはこう言ったのさ
俺のことを良く解ってる母さんは、これからやり方を変えるから、俺のことを抱きしめてはくれないってさ
だから母さんは俺を叱らずに、ベルトを手に持って
バックルで俺を叩きながら、母さんが味わってきた痛みを俺に与えるんだ
10歳にも満たない子供が分署に連行された時一緒に来たのはポリ公じゃなく、若い男だったよ
“いいかい、ガキのマザーファッカーめ、よく聞きな。俺はお前が相手できるような奴じゃないんだ。
こんな分署に一緒に来させられて、忌ま忌ましい。お前をうーんといたぶってやるからな。
チクショウ、俺をたぶらかそうたってそうは行かないぜ”
まだ日が照ってるから、あれからそんなに時間は経ってないな
ニガー野郎のあいつは、こんな所にはいられないって言ったけど
あいつはそのブラザーが大好きだったんだ
TVばかり見ていて、大人になれなかったんだな、オレたちはそれでも成長しなけりゃならないのさ
だから俺は意を決してゲットーを飛び出した
キャロライナで都会人を気取るってのは、まるで孤立した中国みたいだぜ
金の銃弾でできてるような心臓の持ち主でも、俺ならお前らの心を捉えることができるんだ
小さな町でボトルが立ち止まるまで、ボールは弾み続けるってことさ
Hey お前の名前は何て言うんだ、
ニューヨークから出てきた俺にとって、今日が最初の闘いの日なのさ、
もしもお前が白人なら俺の領域に入り込んで座るのは御法度だぜ
汚い手を使って最低得点を叩きだしても、それは南部で見た悪夢のようさ
その翌年に真先に解雇されるのは俺だからな
俺たちはクイーンズ出身のガキだったけど、他の地区の出身者もいたんだ
ロックウェル、B・スキー、ロン・ドゥにフレディ
俺たちが“ロックステディ”のステップを踏んでたみたいに、
ニューヨークは最新のものを生み出す象徴みたいな都市さ
スタンはターン・テイブルとマイクを持ってたし、どのブラザーも気さくな連中だったな
俺たちはラップだけじゃなく、アクロバットなダンスもできたのさ
パリス、フォクシー、そしてクリスティーナ、みんなが“頼むからラップして”とせがむんだ
騒々しくて、粗野で問題ばかり起こしているニガー連中、
“Yo それは俺たちのことさ”確かに厄介者かも知れないけど、
今でもテニスを楽しんでいるから、そんなに見すぼらしいって訳じゃないぜ
リーボックのシューズを履いて大人になったんだ、
連中は自分たちのことを油断のならない仲間って呼んでるのさ
俺がつるんでたのは、年下のブラザーだけ
そのショーティ・ドゥ・ワップって奴のDJぶりは大したもんだったぜ
5フィートの自分よりデカい連中を負かしたぐらいだもんな
'83年に誕生したラップのビートは、今やストリートで大流行
誰もその先を読めなかったし、今でもあれこれ言う奴がいない
ヤワな連中はラップを嫌ってるけど、それについてじっくり考えることをしないのさ
そうさ、そいつを生み出したのはワイルドなスタイルの落ちこぼれのガキかも知れないけど、
結果は失敗どころか最大の武器になったんだ
一人前になるまでは、他人をとやかく言うのはよくないな
俺の仲間は全員、一致団結してるのさ
来週、学校を卒業したら、俺はニューヨークを出て行くぜ
それから7日後に、みんなからもらった溢れるほどの愛情を置いて行くんだ
ニガーども、お前らと別れるのは淋しいぜ、みんなでラップしたことは本当に楽しかったな
けど、俺は次のバスに乗るよ
みんなの電話番号を控えてあるから、必ず連絡を取り合おうぜ
愛情と金を持って、俺は俺の道を行く
名声なんてクソッくらえ、ここから俺の人生は大きく変わるのさ
お次の番の奴が言う言葉に耳を貸してくれるかい
俺には壮大な計画があるのさ、それを思い描いているんだ

俺たちが家を出た時、俺の本当の親父はドラッグのディーラーだった、
親父は縄張りを持ってたのさ
だから俺は親父と家族の関係を続けていたし、少なくとも、連絡だけは取り合ってたよ
ブツの輸出入を手伝えば、俺にも見返りがあると思う辺りはまだ子供だったよな
クイーンズ地区フラッシングでは、友達はみんなジャンキーだった
俺の幼友だちは、マリワナの売店と生まれながらの麻薬中毒の赤ん坊、
そして夢を持ってたんだ
俺の親父は落ち着き先を見つけたから、俺はもうあいつを親父だと思うのをやめたのさ
ティキを救うために、エホバの証人の親父は役立たずだと思ったからな
そんなことでいい気になってる親父って一体何なんだよ
俺は家族を悲しませたくなかったけれど、どうしてもやらなければならないのさ
恐怖心が消えて、違法行為に走る俺
百万長者みたいに策をあれこれ使って、これからの計画を紙にまとめてみたんだ
いいかい、ここから通りにある銀行を目指すのさ
刻々と迫る時間を気にしながら、今は家の中で
喧嘩早い従兄弟のパペイトと一緒にジッとしてるんだ
あいつは稲妻のように、思ったことをすぐにやらないと気が済まないほど子供だけど
子供だからこそ、残酷なことも平気でできるのさ
親父にだって失敗は許されない
後ろにパペイトと一緒にいるリースを従えて、取引を敢行したのさ

ある日の夜更け、俺はたった一晩で大金をモノにしたぜ
2週間分の稼ぎより多いその金を数えるだけで楽しいな
俺は花の蕾が開くように目覚めて、太股をグイグイ動かして自転車で親父の所へ向かったのさ
リーヴァイ、ティム、その他の仲間と一緒にコートの中にヤクを詰めて
その恰好がファッションになる前に、疲れちまう
片方のポケットは仕事用、もう片方は金を入れるため
金をタップリ持って、イカした曲をかけながら道を行くのはカッコいいことだと思ってた
親父は“これを読め”と言って諭したけど、俺は“クソッくらえ”と言ってたのさ
だから俺はどんな悪さでもしでかした
ティキが金を稼ぐようになってから、あいつの仲間も実入りが良くなったのさ
だから昼も夜も一日中
ストリートの中心街を行くニガーどもは羽振りが良かったんだ
薬物中毒患者が多かった最初の時代の前に戻ったみたいだな
俺の仲間も、人目を忍んで金を稼いだもんさ
すぐにカッとなり易いカルヴィン・クーラーは、リック・ザ・ルーラーをして遊びまくってた
俺は羊の毛のセーターを着たような猫かぶりだったから、
イキがるなんてことはしなかったんだ
'86年、最初で最後の大勝負
街角でラップしてた俺の望みは、自分のレコードを出すことだけだった
そんな時、メリックの所でレグとジョーに会ったんだ
けど、俺が誰かにヤラれるまで
街角で人目を憚らずにラップしてる俺はまるでストリップをやってるみたいだったな

 

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